91APP「AgentOne」発表会レポート:EC の管理画面が自分で動き出したら、リテールの成長はこう変わる
台湾のリテール SaaS 大手 91APP の新製品発表会に行ってきました。EC の管理画面が「自分で仕事をする」ようになったとき、リテールの勝ち筋はどう変わるのか。会員登録したのに一度も買っていない 63 万人、という生々しい数字から話を始めます。
先日、台湾のリテール SaaS 大手 91APP が「2026 リテールサミット」(台湾の小売業界向けカンファレンス)で開いた新製品発表会に行ってきました。
この記事は、私が 2026 年 7 月 23 日に中国語で公開した現場レポートの日本語版です(原文は こちら)。数字と固有名詞はそのまま、言い回しだけ日本の読者向けに書き直しました。
会場に入った瞬間、思わず笑ってしまいました。
満席。照明が落ちてスライドが映った瞬間、列がまるごと同時にスマホを構えて撮り始めるんです。「このページ、あとで絶対に使うやつだ」と全員が同時に思った瞬間の絵です。私も 30 枚近く撮りました。帰ってノートを整理して、この日の情報密度の高さに改めて驚きました。
以下は、その日の二つの講演の現場メモに、伝統産業から百貨店の売り場、そしてデジタルマーケティングへと渡り歩いてきた私の実感を足したものです。
先に結論から。
表向きは AgentOne という新製品の発表会です。でも私に言わせれば、話していたのは一つのことだけでした。
あなたの EC の管理画面が「自分で仕事をし始める」とき、リテールの戦い方は、まるごと入れ替わります。
登壇者は二人。製品の骨格を説明する役(スライドの表示は Happy Lee 氏)と、それをどう「成長」に収束させるかを話す役(戦略パートの登壇者)。この記事では二つを混ぜて書きます。もともと同じことの表と裏だからです。

まず骨格から:AgentOne を支える三つの土台
Happy Lee 氏は冒頭で、AgentOne の核心を言い切りました。「これは、あなたのことを理解している」。
どう理解しているのか。三つの土台があります。

一つ目が Data(自社の運営データ)。いまの事業がどういう状態にあるかを知っている。二つ目が Knowledge(ナレッジベース)。91APP と iCHEF が十数年かけて積み上げた製品のノウハウと、ブランドの成長を支援してきたノウハウが入っています。三つ目が Workflow(ワークフロー)。システムの中まで手を伸ばし、Commerce Cloud、Marketing Cloud、iCHEF といった既存のプロダクトを実際に操作してタスクを完了させる部分です。

会場で挙がった例が刺さりました。少し踏み込んだ分析レポートが欲しいとき、これまではデータアナリストが 2 週間かけて作っていた。AgentOne に聞けば 2 分で出てきます。しかも数字の羅列ではなく、自分でグラフまで描き、Data(データ)を Information(情報)に変えて、重要なインサイトはここです、と直接教えてくれる。
以前、Google がマーケティングの管理画面を「レポートを探す場所」から「一言たずねる場所」に変えつつある(中国語)という話を書きましたが、方向はまったく同じです。これまでのツールは「ツールを操作できる人」のための設計で、「答えを知りたい人」のためではなかった。その線が、ようやくつながった。
Happy Lee 氏の整理はきれいでした。LLM(大規模言語モデル)は「質問に答える」。Agent(AI エージェント)は「タスクを実行する」。AgentOne はその先で、「人間ではない新しい同僚」を何人か雇って目標の達成を手伝ってもらう感覚に近いものです。
「ソリューション」から「エージェンティック」へ:人も操作でき、AI も操作できる
ここが、この日いちばん重要だと私が思った転換点です。
91APP はこれまで大量の Application(アプリケーション)を作ってきました。小売から飲食までの Commerce Solution、マーケティング領域の MarTech と AdTech。今も重要で、AgentOne はそれを置き換えません。上に重なって、それらを「操作する」ものです。
だから Commerce Solution は Agentic Commerce に、Marketing Solution は Agentic Marketing になる。全部を合わせたものが、今年の主力メッセージ Agentic Enterprise Solution(AI エージェント型のエンタープライズ・ソリューション)です。
ポイントは、すべてのプロダクトの設計思想が変わったこと。これまでは人だけが UI を操作できた。これからは人も操作できるし、AI も操作できる。
Happy Lee 氏は「口で言うだけで仕事が終わる」デモをいくつも見せてくれました。どれも小売の現場の痛いところを突いてきます。これまで商品登録といえば、指定の Excel をダウンロードし、全項目をきっちり合わせないとアップロードできなかった。いまは自社フォーマットのままの Excel を放り込めば、項目を対応づけて登録まで済ませてくれる。会員向け特典も、パーソナライズのシナリオ設定も、話すだけ。項目が多すぎる、文字が小さくて読みにくい。そんな不満ですら、口に出せば文字を大きくしてくれます。
この筋は、以前に読み解いた Shopify のエージェント向けコマース・プロトコル(中国語)の底にあるロジックと同じです。インターフェースが「意図」に置き換わっていく。あなたは、自分が何をしたいかを言えればいい。
でも、思わず背筋が伸びたのは、あの「グサッとくる逆質問」のデモでした。
AgentOne には、大ざっぱな目標をそのまま投げていい。たとえば「新規顧客を増やしたい」。
最初にやるのは、あなたの Data を調べにいくこと。そして逆に聞き返してきます。あなたが欲しい「新規」は、どの新規ですか。まだ広告を見たこともない新規客か。会員登録をした新規会員か。それとも、会員登録はしたのに一度も買っていない初回購入前の人か。
「初回購入前の人」を選ぶ。すると数字が返ってきます。あなたのデータの中に、会員登録をしたのに一度も買っていない人が 63 万人いる。全員が R0(直近の購入がゼロ、つまり一度も買ったことがない層)に沈んでいて、その比率が驚くほど高い。
思わず「うわ」と声が出る。確かにこれは大きな問題です。
そこからナレッジベースを参照し、製品の使い方、過去の事例、あなた自身のブランドが以前どうやったかまで踏まえて、施策案とスケジュールを出してくる。「完璧、これで実行して」と言えば、本当に Commerce Cloud に入って会員特典を設定し、クーポンを発行し、パーソナライズ施策を組み、最後は自分が生んだ成果を自分で追跡します。
ここが肝です。
「命じられた操作をやる」のではなく、「目標を実現するための一連のループ」を丸ごと回している。
Happy Lee 氏の結論には、私もかなり同意です。システムを操作できることは、成長を生むことと同じではない。AI の導入は目的ではなく、目的は成長です。AgentOne を「あなたのマーケティング責任者」として扱うことを勧めていました。「売上をどう伸ばせばいい?」という大きすぎる問いを投げても、どこから手をつけるかを一緒に考えてくれる、と。
Marketing Cloud に生えた三つのエージェント:Paid・Owned・Earned を一度に
続いて Marketing Cloud の大幅アップデート。一気に三つのエージェントが生えました。

マーケターに馴染みのある言い方に置き換えると、この三つはトラフィックの三つの源泉にきれいに対応します。MediaOne が Paid Media(有料メディア)、EngageOne が Owned Media(自社メディア)、SearchOne が Earned Media(クチコミ・自然流入)。
MediaOne:広告運用の「クオンツ取引」
MediaOne は名前のとおり広告運用ツールで、オーディエンスを決め、クリエイティブを設定し、Meta と Google Ads に配信します。この手のツールは世の中に山ほどある。何が違うのか。
裏側の操作を、全部エージェントがやることです。

Happy Lee 氏によれば、このエージェントのスキルは、社内に十数年蓄積されたリテール広告運用者の実戦経験から取り出したもので、数万件あるそうです。これまで運用者は Meta と Google の管理画面を開き、一つの予算を何本にも割って Custom Audience、Lookalike、ASC に振り分け、成果を睨みながら手で増額し、減額し、クリエイティブを差し替えていました。いまはその一連を、エージェントが構成の設計から最適化まで、しかも 7×24 で止まらずに回してくれる。
会場でいちばん効いたのがこの一枚。エージェントが、いま自分が何をしているかをリアルタイムで報告してきます。このキャンペーンはダメだから停止、こっちはコンバージョン率がいいので増額、このオーディエンスは動かないのでクリエイティブ差し替え。一行ずつ並べて見せてくれる。

Happy Lee 氏は、これに的確な名前をつけていました。広告運用のクオンツ取引(データとルールで機械的に売り買いする、あの運用スタイルです)。データで殴り合えば、人の手はまず勝てません。過去半年、多くのクライアントで POC を回した結果、コンバージョン率でも予算規模でもクリエイティブの運用でも、クライアント自身の運用者に勝ってしまったケースがかなりあったそうです。クリエイティブが足りない? それも生成してくれます。
運用者が燃え尽きるところを何度も見てきた私には、この話は生々しすぎました。
一人で数十本のキャンペーンを同時に見ていたら、人はすり減ります。広告運用は、クライアントのプレッシャーをそのまま背負う仕事だからです。人は疲れるし、腹も立つし、休みも要る。でもエージェントは疲れない。数百のキャンペーン、数百の広告セットを同時に見て、素早く最適化できる。解放されるのは手作業に縛りつけられた運用者の「手」で、判断は人に残ります。
EngageOne:キャンバス型の顧客ジャーニーを、人と AI で一緒に描く
二つ目の EngageOne はマーケティングオートメーションのエージェントです。
キャンバス型のジャーニーツールは業界に山ほどあって、画面はたいてい格好いい。でも実際に担当者が座って一マスずつシナリオを描くとなると、へとへとになります。91APP の解き方はここでもストレートで、エージェントに描かせる。欲しいジャーニーを話すと、まず描いて見せてくれる。違えば直させる。細かい調整は自分でやる。これが人と AI の協業です。
デモはダブルイレブン(11 月 11 日の商戦)の VIP 向けジャーニーで、数字に説得力がありました。

一本は 7,821 人に対して客単価 +25%。もう一本は休眠していた VIP 3,124 人に対して、掘り起こしで +8%。どちらもファーストパーティデータに基づく 1 対 1 のコミュニケーションで、実際の成果を見ながらエージェントに最適化させていきます。
SearchOne:育てるのはキーワードではなく、「問い」
三つ目の SearchOne は、SEO をやってきた私がいちばん反応したエージェントです。
解こうとしている問題はこうです。いまのトラフィックは、もう Google の従来型検索だけから来るわけではない。Google Search Console(GSC、検索パフォーマンスのツール)で見える流入だけでは足りません。Google AI Overview(AI による要約)、AI Mall、ChatGPT、Claude と、入り口はいくらでもあります。
そこで作られたのが、検索の全体像を一枚で見るインサイト機能です。従来検索での表示とクリックに加えて、自社サイトが AI に言及されているか、AI のクローラーが来ているかまで、同じ画面で見られる。AI に自社サイトを読ませるための仕様(会場では UCD と紹介)も組み込み済みとのことでした。
いちばん頷いたのが AI Quest です。
昔の SEO は「キーワードを育てる」と言いました。でも AI の時代、消費者は単語を二つ打ち込むのではなく、一文まるごとで質問してきます。育てるべきはキーワードではなく、「問い」 のほうです。この AEO(Answer Engine Optimization、アンサーエンジン最適化)と GEO(Generative Engine Optimization、生成エンジン最適化)の戦い方は、以前 2026 年版 Google AI 検索の最適化ガイド(中国語)で読み解きました。核心は一言、AI があなたを引用してくれるかどうかの奪い合いです。AI Quest はブランドのために自問自答をしてくれる仕組み。その「問い」の出どころはとても素朴で、毎日 ChatGPT に聞きにいくそうです。あなたのカテゴリの消費者はいま何を聞いているのか。持ち帰って整理し、自社サイトできちんと答えを書く。

Happy Lee 氏は、もう一つ地に足のついた観察を挙げていました。GSC はすでに AI Overview のクリック数を出し始めています。何も手を打っていなければ、その線はゼロのまま。製品を入れると、じわじわ立ち上がってくる。最初は量こそ小さいけれど、いいスタートです。同時に、釘も刺していました。従来型検索を早々に見限るな、と。従来型検索は、世界全体の検索量のいまだ 7〜8 割以上を占めていますし、サイト内検索はサイト外検索の土台になります。
ここまでで骨格は出そろいました。三つの土台、三つのエージェント。「どんな武器があるか」の話です。ここから戦略パートに交代して、もっと難しい問いに答えます。この武器を、どうやって「成長」に結実させるのか。
戦略パート:トラフィックは消える、会員資産は積み上がる
戦略パートは、開幕からいきなり生々しいクライアントデータを投げてきました。聞いた瞬間、ノートの一ページ目に書き留めました。
同じクライアント群で、サイトのセッション数は全体で +9.1%。流入の機会は、まだあります。ところが新規会員登録は −14.5%。新規客が抜けている。リピート購入の売上は +5%。既存客は買い続けている。しかし初回購入の売上は −7.6%。初回購入の受け皿が、明らかに足りていない。
登壇者の判断は、鋭かった。
いまの問題は、お客様が来なくなったことではありません。新規客を、ちゃんと受け止められていないことです。

登壇者は、一つのフレーズを覚えて帰ってほしいと言いました。トラフィックは消える、けれど会員資産は積み上がる。来たのに識別されなければ、そのまま消える。登録しても初回購入がなければ、価値は発生しない。初回購入があっても戻ってこなければ、長期的な関係は生まれない。このファネルには三つの転換点があります。一つ、広告の限界効率が落ちていて、予算の積み増しだけでトラフィックを買い続けることはもうできない。二つ、未登録・未購入の訪問者を識別できるかどうか。三つ、一回一回の接点を記録し、識別し、次の行動につなげて、ブランドの資産に変えられるかどうか。

このロジックは、以前書いた AI エージェント時代の新しい堀:なぜファーストパーティデータのほうがモデルより重要なのか(中国語)と、ほぼ同じことを言っています。ツールがどれだけ強くても、識別できて運用できる会員資産が土台にないと、全部が空回りします。
OMO 2.0:店舗の通りすがり客を、会員資産の起点に変える
戦略パートは続けて、OMO(Online Merge Offline、オンラインとオフラインの融合)を一段階先へ進めました。ここは、売り場に立っていた頃の私の古傷を的確にえぐってきます。
OMO 1.0 でみんなが気にしていたのはチャネル統合でした。オンラインとオフラインの構成比、在庫連携、取引フローの接続。OMO 2.0 では焦点が変わります。会員資産の蓄積です。店舗のトラフィックはデジタル資産になるか。通りすがりの客はオプトイン(自ら同意して会員になること)してくれるか。アプリと LINE の二重連携(会員 ID をアプリと LINE の両方にひも付けること)の比率は上げられるか。初回購入とリピート購入、客単価は管理できているか。ここまでやって、ようやく本当の LTV(顧客生涯価値)です。
日本と同じく台湾でも LINE の普及率は非常に高く、EC・小売の主力チャネルです。だから「アプリと LINE の二重連携」は、台湾ではかなり切実なテーマになります。

91APP はこのプロセスを「会員資産のフライホイール」として描いていました。店舗が提供する商品、サービス、信頼が、いちばん重要な起点。オプトインによって、来店した人の流れを、識別でき、コミュニケーションでき、運用できる会員に変える。次がアプリ × LINE の二重連携(アプリはブランド自身の入り口、LINE は即時に届くチャネル。二つ合わせると効果が増幅します)。その次が CRM 運用。最後に、初回購入・リピート購入と客単価の向上へ戻ってくる。
「店舗の通りすがり客が、そのまま流れていく」。これは私が百貨店のテナント売り場(台湾で「専櫃」と呼ぶ、ブランドが百貨店の中に自前の売り場と販売員を置く形態です)にいた頃、ずっと刺さったままのトゲでした。
一日に何百人もが売り場の前を通り過ぎていく。触って、少し聞いて、そのまま帰る。私はその人の名前も、何に興味があったのかも知らない。あとから連絡を取ることもできない。このフライホイールが解こうとしているのは、まさにこの数十年ものの宿題です。入ってきた人を、もう一人も取りこぼさない。
登壇者は、OMO 2.0 が 1.0 よりはるかに複雑だということも正直に認めていました。獲得、体験、コンバージョン、リテンションを同時に扱いながら、AI SEO、サイト内検索、ポップアップによる即時の介入、CDP、CRM、初回購入施策、VIP 運用と、細部が山のようにある。
でも締め方がきれいでした。複雑さそのものは問題ではありません。問題は、その複雑さをコントロールできるかどうかです。
OMO 2.0 の世界では、複雑さをコントロールできる人が、成長のレバレッジを握る。これが AgentOne と Commerce Cloud を組み合わせる価値でもあります。一言でいえば、複雑さはシステムに、成長はブランドに。

具体的なデモもありました。ブランドが「店舗の売上を押し上げたい」と設定する。AgentOne が顧客構造を分析し、機会を一つ見つける。オンラインの消費者のうち、実はかなりの人数が「店舗の在庫を調べる」機能から入ってきていた。そこで顧客をセグメントに分けて優待を出し、あなたの判断を挟んだうえで Marketing Cloud を調整してパーソナライズを設定する。配信前にはテスト通知を作り、間違いが起きないことを検証してから本番に出す。複雑な OMO のタスク一式が、いくつかのシンプルな成長タスクに収束していく。頼りにするのは大型キャンペーンの一発当てではなく、毎日の小さな上積みです。
まとめ方:左右二つの翼と、四つの統合
戦略パートは最後に、全体を覚えやすい一つの形にまとめました。左右二つの翼で飛ぶ、という絵です。

左翼が SearchOne × CDMP(顧客データ管理プラットフォーム)。トラフィックを連れてきて、訪問者を運用可能な会員に変える役割。右翼が EngageOne × LINE ポイントアシスタント(LINE 賺點助手)。ポイントというインセンティブで初回購入とリピート購入を増幅する役割。この二枚の翼を AgentOne がつなぐと、フライホイール全体が加速して四つの能力になります。見つけてもらえる(SearchOne)、留めておける(CDMP)、買ってもらえる(LINE ポイントアシスタント)、戻ってきてもらえる(EngageOne)。

さらに一段上でまとめると、四つの価値統合です。AI ワークフローの統合(AgentOne × Commerce Cloud、目標をタスクに、タスクを実行に変える)。会員資産の統合(AgentOne × OMO 2.0)。マーケティングのコンバージョン統合(SearchOne × CDMP × EngageOne × LINE ポイントアシスタントで、流入を受け止めてコンバージョンを増幅する)。そして成長ドライバーの統合(ブランド × 91APP)。
会場に、私の好きなやりとりがありました。あるブランドの方が、多くの人が心の中で思っていた質問を挙手して聞いたんです。AgentOne があるなら、AM(Account Manager、アカウントマネージャー)はもう要らないのでは?
答えは、あっさりしていました。絶対に必要です。
リテールはこれからも複雑になる一方で、ツールが増えるほど、それらをつなげられるサービス側の役割が要る。ブランドが欲しいのはバラバラのツールの数ではなく、複雑さを統合して動力を出し続けるシステムと、実際に機能するサービスの組み合わせです。AM は、あなたの商売をいちばん理解している人。
これは私がずっと信じていること、そして エージェント元年の後半戦について書いた記事(中国語)で書いたことと重なります。エージェントは、人を置き換えに来たのではありません。「統合できる人」の価値を上げに来たのです。
だから最後のスローガンも、素直に受け取りました。91APP はシステムベンダーではなく、AI 時代のリテール成長パートナーである。
私に特に刺さったこと
全部聞き終えて、いちばん残ったことを挙げます。日本で EC や小売をやっている方にも、たぶんそのまま刺さるはずです。
「キーワードを育てる」が「問いを育てる」に上書きされたこと。SEO を長くやってきた私には、頭をガツンとやられた話でした。あなたのお客様がいま、あなたのカテゴリについて AI に「どんな一文」で聞いているか。最後に真剣に考えたのは、いつですか。
店舗の通りすがり客が消えていく痛み。このフライホイールは、少なくとも一本の道は示してくれました。売り場にいた頃の私が、どれだけ考えても解けなかった問題です。
運用者が一人で数十本のキャンペーンを抱えて潰れる現実。MediaOne の「クオンツ取引」は、とても正直な解き方です。判断は戦略の層に残し、実行は疲れないエージェントに渡す。
そしていちばん大事な一言。操作できることは、成長を生むことと同じではない。これは「AI」に限った話ではありません。あなたがこれまでに導入したどのツールの名前を入れても、そのまま成立します。
実装の細部をもっと見たい方へ
91APP は オンラインテーマウィーク を開いていて、発表会の内容をさらに細かく分解しています。

4 日間で 4 回、毎日 15 時から 91APP の YouTube 公式チャンネルでライブ配信、各回 40 分ほど。7/27(月)の第二世代 AI SEO、7/28(火)の CDMP データ基盤、7/29(水)の Payments はすでに配信済みで、本日 7/30(木)の飲食店向けソリューションが最終回です。終わった回は YouTube にアーカイブが残ります。AI SEO、データ基盤、決済、飲食のデジタル化のどれかで頭を抱えているなら、いちばん痛いテーマを一つ選んで観るほうが、私のこの記事を読むよりずっと実践的です。ただし、配信はすべて中国語です。
OMO と会員運用の基礎から押さえたい方には、私が台湾側の視点から日本のリテールを読み解いた 日本の OMO はどうやっているのか:リテールアプリと会員運用の 4 つのポイント(中国語)もあります。日本の方には「外から自分たちがどう見えているか」という読み方になるはずです。
今日から手をつけられること
最後に、この日いちばん持ち帰る価値があると思ったことを並べます。
► 「初回購入の受け皿」をファネルで分解して見る:新規登録、初回購入、リピート購入を分けて追う。総流入は伸びていても、新規客は指の間から抜け落ちているかもしれない。
► 「キーワードを育てる」を「問いを育てる」に上書きする:ChatGPT に直接聞き、自社サイトがその答えを書けているかを見直す。
► 店舗を「成約の場所」だけにしない:通りすがりの客のオプトイン、アプリと LINE の二重連携。来店の一回一回を、会員資産の一件に変える。
► AI は「機能」ではなく「目標」から考える:どの管理画面を操作できるかではなく、どの成長目標を達成してほしいかを先に決める。
► 人を減らす話に飛びつかない:ツールが増えるほど、つなげられる人が要る。あなたの AM、あなたの成長パートナーは、むしろここから価値が上がる。
一度に全部やる必要はありません。今週はまず一つだけ選んで切り込む。おすすめは「初回購入ファネルの分解」か「店舗のオプトイン」。この二つが、まだ気づいていない水漏れをいちばん抱えている可能性が高いからです。
AI は目的ではなく、成長が目的。この発表会は最初から最後まで、その一言を話していました。私もそのまま、あなたにお渡しします。

AI との協業についてと免責事項
この記事は、私(王董)と AI が一緒に整理して制作したものです。本文で引用した第三者のデータ、調査、ツールについては、出典名を明記しています。元の出典に公開されたリンクがある場合は [出典名](URL) の形式で添えていますので、必要に応じてご確認ください。本文の内容と元の出典に食い違いがある場合は、原典を優先してください。
内容は参考および学習・情報交換のためのものであり、専門的、商業的、投資的な助言を構成するものではありません。ご自身の状況に応じてご判断のうえ、行動のリスクはご自身で負ってください。本文で言及したツールの機能、数値、プラットフォームのポリシーは、時間の経過とともに変わる可能性があります。各社の最新の公式発表を優先してください。
本文の見解は著者個人の立場によるものであり、所属する会社、クライアント、パートナーの意見を代表するものではありません。
本記事のデータおよび引用は、すべて 91APP AgentOne 発表会(2026 年 7 月)の現場での発表によるものです。現場のスライドと講演内容を基準としています。